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避難所開設時の新型コロナ感染対策として市内すべての学校などにビッグファンを導入

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避難所となる学校に導入された大型扇風機

兵庫県・伊丹市

公立学校及び公民館に計60台を導入
 伊丹市では市避難所運営マニュアルを改訂し、新型コロナウイルス感染予防対策が追加されたことを受け、昨年7月に市内すべての市立学校及び公民館に計60台(各2台×30箇所)の大型扇風機を導入した。
 「学校は小中学校と高校1校を合わせて26校になり、いずれも避難所指定を受けていることから、開設した際の換気対策及び熱中症対策として導入しました」と話すのは、総務部 危機管理室の森下昌紀氏だ。また、市としては「令和2年7月豪雨」の避難所開設時に必要性を感じたことも、導入を急いだ要因になっているという。
 避難所となる学校の体育館は、風通しが悪く、室内に熱がこもりやすいため、新型コロナウイルスの感染予防として換気に注意する必要がある。そこで、広い空間の空気循環や換気に威力を発揮する、大型扇風機を使うことが注目されている。

ハイパワーに加え、機能性や安全面にも優れる
 採用したのは、羽根径75cmのビッグファン「BF―75V」(株式会社ナカトミ製)で、ハイパワーかつ送風距離が長いため、多くの自治体で導入が進んでいる。「既存のコンセントが使える単相100V電源や、キャスター付きで移動が可能なのが長所。しかも、モーターが異常発熱すると自動的に停止するサーマルプロテクター(復帰式過熱保護装置)を内蔵し、安全面にも優れていることが決め手になりました」と語る。
 そのほか、上下方向の風向き角度の調節や、ダイヤル式スイッチにより風量を2段階に調節できる特長がある。
 使用方法としては、「学校体育館の出入り口2カ所に大型送風機を置き、空気の流れを作り、適宜方向を調整することで室内の換気を図ることを想定しています」と森下氏。学校によっては、すでに独自の予算で大型扇風機を導入しているところもあり、より効果的な活用方法を取り入れることも可能だ。
 その中で、昨年の導入時はコロナ禍で中止を余儀なくされた自主防災組織による避難所開設訓練を、10月に鴻池小、11月に鈴原小の両校で実施することも決まっている。また、エアコンが整備されていないため、同じく導入したスポットクーラーと併用して熱中症対策に活用することも考慮しているという。

有事に備え、平時から積極的な活用を期待
 「大型扇風機については、市としてはあくまで避難所開設時のコロナ感染対策及び健康被害を防止するために導入したわけですが、そのまま置いておいても有事の際に動かないのでは困ることになります。したがって、子どもたちの健康を守るためにも、学校においては平時から積極的に活用してもらえればと期待しています」と呼びかけた。
 なお、市ではさらなる避難所開設時の新型コロナウイルス対策として、プライバシーを保護し、蜜を回避する間仕切りテントを今年度中に整備する計画だ。

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