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学習指導要領の未来 生活科・総合そして探究がつくる令和の学校教育

19面記事

書評

野田 敦敬・田村 学 編著
教職の魅力に いま一度導く一冊

 あえて結論から述べる。期待を超える魅力が詰まった一冊。強くお薦めする。執筆者には、生活科・総合的な学習(探究)の時間に深く関わられている著名な方の名が連なる。おのおのの提言や解説、意見から豊かな学びが得られる。
 第1章「大胆予想!これからの学校教育と次期そして未来の学習指導要領」では、今後に期待すると同時に、現在の学校の果たすべき責務を考えさせられた。
 第2章で昭和22年から現在までの学習指導要領の変遷を解説。なぜこのように改訂されてきたのか、その意図を理解してこそ未来を見つけられる。
 第3章の「新学習指導要領が本当に目指すところとは」では、学習指導要領の真の目的やねらいを改めて検討。本書の白眉の一つが本章だと思えた。学習指導要領の下、学校教育は進行中だが、本章を精読して自身の足元を常に見つめ直しておく必要があると思えた。教育者である私たちは受け身的にならず、主体的な学び手でありたい。
 特別企画の紙上シンポジウム「令和の教育を展望する」でも、登壇者の教育に対する熱い発言に心が揺さぶられる。評者は「嵐の中の『生活科』の船出」がタイトル通りの内容で興味深く拝読。多くの困難を乗り越えパラダイムの転換を図られたことに思いを寄せた。本書は、間違いなく、教職の魅力にいま一度導いてくれる一冊だ。
(2200円 学事出版)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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