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子どもの気づきを引き出す!国語授業の構造的板書

18面記事

書評

樋口 綾香 著
写真で実践例示し具体的に解説

 小学校の教員の誰もが目指す「国語授業における『構造的板書』」。板書を見ながら生き生きと発言したり、比べたりつなげたりしながら仲間と学び合う子どもたちの姿は、どの教員も求めるところであろう。本書は、板書に子どもの思考の過程と深まりが表れなければ、子どもの学び方は変わらないことに気付いた著者の実践をまとめたものである。
 何といっても、授業時間の全板書の掲載、第3章「構造的板書の実践事例」の構成には驚く。写真での掲載のためチョークの色や文字の大きさなども含め著者の意図が目で見て分かる。「板書解説」と、その時間の子どものノートもあり、教材に対する著者の考えと、板書を通した子どもの思考の流れも理解できる。教材は、よく知られている「注文の多い料理店」「海の命」など。巻末には学習指導案もある。
 3章構成の第1章は、板書の定義から板書の字についての技まで具体的な記載があり、経験の浅い教師にとって心強い。また、教材研究は、内面的価値(内容)と表面上の特質(場面構成の特徴や描写等)の両面からと説く著者の視点は、教科の見方・考え方に通じるものであり興味深い。
 板書が授業者と子どもをつなぐ場であるとともに、子どもと子ども、子どもと教材をつなぐ場となるよう手にしてほしい一冊である。
(2090円 学陽書房)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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