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主体的・対話的で深く、新学習指導要領を読む

18面記事

書評

新保 修 著
「要点の構成図」示し理解深める

 読み応えのある一冊だ。書名を再度見ていただきたい。「自分なりの『深い学び』の捉えを実感したくて」執筆したとのこと。著者の飽くことのない探究心、真摯な知識欲に敬服すると同時に、格物致知とした姿勢の大切さを教えられる。
 新学習指導要領が告示されて既に5年。もう「新」ではないだろうが、十分に熟知・理解した上で実践しているかといえば心もとない。根幹に関わることを理解し納得して改革を進めていくことが肝要だが「分かったつもり」で実践してはいないか。とはいえ、多忙な教育現場では、いま一度、総則編を熟読することが難しいこともあるだろう。そこで、現場をよく知る著者が執筆した本書は実に有効だ。できれば時間をかけて全文を読むことをお勧めするが、必要に応じて摘読しても。ただし、第1章「学習指導要領総則の構造」は必読。大変参考になる。そこには、始章として掲載されている〔「学習指導要領解説総則編」を中心とした要点の「構成図」〕が解説されているのだが、この構成図が秀逸。著者が自身の理解を深めようと、内容的なつながりの構成から整理し作成したもの。この図を手元に置きながら他の章を読むと、より理解が深まる。「構成図」がカラー刷りなのもうれしい。
 各章には「ポイント」「コラム」「Q&A」もあり工夫された構成。常置して活用したい一冊だ。
(1980円 東洋館出版社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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