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AI×データ時代の「教育」戦略

16面記事

書評

渡部 信一 著
変わる学校の役割、育むべき能力を検討

 コロナ禍によりオンライン授業が一気に普及した。移動不要で非接触のオンライン利用は便利で、学校教育以外の「学び」も含めて拡大が予想され、時代は変わろうとしている。
 人間がプログラミングしていた時代を経て、最新のAIは自律的に学習するようになり、今やさまざまな分野でAIが活躍。私たちは気付かないまま、AIの恩恵を受けている。
 著者は、私たちは今、「AI×データ時代」の入り口に立っており、それは、同時に「不安定・不確実・複雑・あいまい」が拡大するVUCAの時代だとする。
 現在、「最新AIによる『良い授業』の評価」や、「『ベテランAI教師』の開発」というプロジェクト研究が進行中だというが、興味深い。そして、「『人間教師』の『知識やスキルを教える』という役割は失われていく」「『学校』は、『リアリティのある学びの場』になる」「『見えにくい能力』への着目が重要になる」などと予測。一方で「『学ぶ意欲を持たない学習者』が増える」という気になる指摘も。
 以前はAIが人の仕事を奪う時代が来るとして「AIに負けない能力」の育成を考えていたが、これからは「AIと上手く付き合いながら、自身の幸せを実現するという発想と能力」が重要になると提言。
 学校観も授業観も変え、新しい教育に転換する必要性がよく理解できる。
(1760円 大修館書店)
(大澤 正子・元公立小学校校長)

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