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クラスの子が前向きに育つ!対話型叱り方

13面記事

書評

樋口 万太郎 編著
金子 真弓・小谷 宗・後藤 菜緒 廣瀬 裕介・村上 舞 著
信頼関係築く言葉遣いと立ち位置

 叱り方の苦手な若者が多くなっている。それは、そのように育てられたからではないだろうか。怒ると叱るは違う。叱るという行為には願いや思いが込められているからである。しかし、その心遣いに触れた経験がないと、どうしても感情が交錯してしまう。その意味では本書の「対話型叱り方」ができたら、もっと人間関係はうまくいくだろうが、人は往々にして他人を自由に動かしたいという気持ちが起こる。その欲求が過度になると相手の思いなど関係なしに、威圧や権力で動かそうとする心理が働くものである。その最たるものが戦争であり、身近なところでは、いじめなのではないだろうか。
 本書は見開き型になっていて、「その指導ちょっとまって!」が左に、「これならうまくいく」が右にイラストで様子を表現している。しばらく読んでいるうちに、「これならうまくいく」を続けて読むようにした。すると、そこに共通の優しさと距離感が感じられてきたのである。すなわち「立ち位置」を示唆しているのである。ふと名人級の先生方の対応や言葉遣いが浮かんできた。
 新採用の先生方はもちろん、年代を超えて教師自身の子育てや、夫婦関係、さらには保護者対応にも共通するところがある。心地よい人間関係を維持し、信頼関係をさらに高め深める日常が創出できるだろう。
(1870円 学陽書房)
(大久保 俊輝・麗澤大学教職センター長)

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