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みんなでつくろう!SDGs授業プラン ソーシャルチェンジのための「公共」「総合的な探究の時間」

14面記事

書評

池田 考司・杉浦 真理・教育科学研究会 編
4時間でできる探究的学習案提示

 探究的な学習、高校に新設した「公共」、総合的な探究の時間などで取り組めるようなSDGsの授業プラン(第2部)を主に構成した。しかも提案した授業自体は、4時間で展開できるように配慮されている。
 プラスチック問題の全体像、クリーンエネルギー推進・拡大、福島の持続可能な地域復興、ジェンダー平等の達成、世界の「食」問題、世界と日本の難民問題など、15テーマを取り上げる。
 それぞれにSDGs17の目標を明示して、講義、グループワーク、報告発表など、時間ごとの授業の流れについて解説し、授業で活用しやすい資料の所在なども掲載した。外部の組織、人材との協働も大切にする。
 実践提案を挟み、座談会でSDGs教育の必要性を提案し、併せて授業プランを立てる際のポイント、留意点を掲げ(第1部)、また、教師に求められるものや、取り組みに必要な七つの視点を提示した(第3部)。
 簡単に答えの出ない授業プランでのテーマ設定は、探究的な学習につなげ、生徒が課題を考え続ける契機とするためだ。SDGsの目標達成に近づくために、「個人の道徳的な実践」での対応にとどめず、「社会変革」を求める姿勢で、本書は貫かれてもいる。
 それは同時に、本書が指摘する教師自身の社会への向き合い方を問うことでもある。授業プラン構想の一助になればいい。
(1870円 旬報社)
(矢)

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