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一刀両断 実践者の視点から【第212回】

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英語より大切な人間力

 グローバル教育で英語が話せると教えられたという大学生がいて驚いた。このAIの時代に日常使いもしない、使えもしない英語の習得を目標にしているという事である。
 この歪さを推進している学校教育がある。身につけないと仕事にならない人は10人に1人程度もいないのではないか。自動通訳のレベルも日進月歩の速さで向上している。確かに微妙なニュアンスは人を介した方が伝わるが、表情などから複合的に読み取れるものである。
 あくまで語学は手段であって目的ではない。それでも推進するのは意図があるからであろう。塾や専門学校や大学の存続の為である事はハッキリしている。日本全国探して日常的に英語を使う環境はどこにあるのだろうか。
 教員採用でも英語のスキルや専門性は大切だけれども、魅力的な人間性に比べれば大したものとは思えない。この魅力的な人間性を育てる事に重点を置いている教員養成をしている大学はどこにあるだろうか。
 人間力の基盤をつくり、その上に専門性が高まり磨き上げられてこそ期待する教師は育つ。志願者が減り資質が低迷している現実の中で採用の視点を人間的魅力へ切り替える時を迎えているのではないだろうか。
 大学が独自で置くことの出来る講座として、前例のない「人間力育成演習講座」を私が勤務する麗澤大学で後期から開始する。興味のある方は是非参観頂きたい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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