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ある新聞記者がみた沖縄50年の現実 沖縄「格差・差別」を追う

16面記事

書評

羽原 清雅 著
幅広い資料基に苦難の背景たどる

 沖縄は、今年、本土復帰から50年になる。
 本書は、新聞記者として、学者として、沖縄の「格差・差別」を追った重厚な書である。
 著者は、早稲田大学第一政経学部政治学科卒。朝日新聞入社後、政治部記者を経て政治部長、西部本社代表等を歴任後、帝京大学教授、新宿区教育委員を務める。多くの著書や論文がある。
 歴史書、各種文献、新聞記事など、幅広い資料を基に、著者の鋭い見解が示される。
 明治政府による「琉球処分」をはじめ、その後のさまざまな沖縄の苦難、そこに見られる沖縄への軽視感、蔑視感が、今日まで長く引き継がれ、「格差・差別」を持続させていると記す。
 心引かれたのは、8章にある「第2代県令・上杉茂憲の改革路線」である。教育面での人材育成や旧制度の改革に挑んだ。その結末は…。ぜひ本書を読み解いてほしい。
 4章「戦前の『不敬罪』の波紋」の小学校長の処分をどう考えればよいのだろう…。
 11章「摩文仁に死す・ある新聞記者の場合」および15章「朝日新聞に見る戦時下の著名人の戦争観」において、時の権力と時流というものが戦争を正当化して国民もこの風潮を受け入れたとき、新聞はどうあるべきか…。
 次々と深く考えさせられる内容だ。あらためて、「命と人権」の大事さを思う。
 50年の節目に、じっくり読みたい一冊。
(1760円 書肆侃侃房)
(谷 智子・高知大学客員教授)

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