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好奇心とクリエイティビティを引き出す 伝説の授業採集

13面記事

書評

倉成 英俊 著
学校の枠超え、面白くためになる実践

 日本最大の広告代理店、電通で、答えのないクリエイティブな教育プログラムを提供する「電通アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所」を始めたのが著者である。電通の懐の深さがどの程度か知らないが、少し変わっていると感じる方もいるだろう。
 そんな著者が出合って、蓄積してきた“伝説の授業”を会社、国内・海外の学校、歴史、コンテンツ、家庭に分類し、「20時間目」までを収めた。採集した“伝説の授業”の共通項について、こう記す。「パッと見、面白い」「そして意味がある。為になる」「が、その出題意図ははじめには明かされない」と。
 「1週間が8日に増えたら、その1日何をしますか?800字以内で書きなさい」「スイスのビジネススクールで、大縄跳びを10回跳ぶ」(以上、会社)や「同じ隅田川花火について、4つの新聞社が書いた記事の、違いを比べる授業」「自分が使う椅子と机を、自分で作るところから始める中1の授業」(以上、国内の学校)といった具合に、章の見出しが知りたくなる“授業”の中身を伝える。
 なぜ、こうした授業を読者とシェアしようとするのか。「凝り固まったこの現代の空気が変わるように。次世代を育むインスピレーションになるように」と著者は言う。読後には「人々がより面白おかしく生きていくきっかけになるように」という思いが一番ぴったりする言葉と感じるのではないだろうか。
(2090円 宣伝会議)
(矢)

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