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教育改革を問う キーパーソン7人と考える「最新論争点」

18面記事

書評

中西 茂 著
10年の議論振り返り今後を展望

 「令和の日本型学校教育」の構築を目指す中、学校現場では、それを担う教員不足、教員採用試験の倍率の低下、教員の精神疾患による休職等、深刻な問題に直面している。文科省が教員の仕事の魅力を発信してほしいと始めた「#教師のバトン」プロジェクトは、その意図に反し、過酷な労働環境を訴える投稿が相次いだことは記憶に新しい。
 本書は、長年教育改革を追い続けてきた著者が、現在の教育界のキーパーソンのインタビューに、著者が学校管理職向け月刊誌で手掛けた巻頭コラム「教育界最新論争点」をテーマに合わせて再構成し、この間の論議を振り返り、この先の教育界を見通そうと試みたものである。
 掲載されたコラムは28本であるが、巻末にある平成21年から令和3年の127本のタイトル一覧にも、この十数年の改革とその速度が見える。
 テーマは、教員の資質能力、教育政策、GIGAスクール、学習指導要領、働き方改革、生徒指導、地域連携の七つ。7人のキーパーソンそれぞれに付く「文科省のキーマン」「『働き方改革』のインフルエンサー」「ミスター・コミュニティ・スクール」などの言葉が目に留まる。
 本書を手にし、教育界の現在、過去、未来を考え、自分なりの答えを探してみてはどうだろうか。
(2530円 教育開発研究所)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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