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校則が変わる、生徒が変わる、学校が変わる みんなのルールメイキングプロジェクト

14面記事

書評

苫野 一徳 監修
古田 雄一・認定NPO法人カタリバ 編著
校則改正プロセスの対話通じ成長

 これまで校則を巡っては、社会のルールとズレた学校独自のルール、いわゆる「変な校則」(校則内容)や、校則を徹底するに当たっての体罰行使など管理教育(校則指導)が問題となることはあったが、校則を誰が決めるのか、改正手続きは不透明なままだった。
 身体や行動を拘束する校則に対する生徒の不平・不満は多いが、たとえ生徒総会で可決、承認されても、いつの間にか職員会議で否決されるなど、生徒が自身に関わるこうした身近な問題さえ、自分たちの手で解決できた実感や成功体験を持てないまま成人の時期を迎えてしまうことが、現代の若者たちの政治的無関心につながっていると指摘されてきた。
 それ故、ルールメイキングプロジェクトとして本書で紹介する校則改正はゴールではなく、改正のプロセスにおける多様な関係者との対話や調整こそが「民主主義の土台としての学校」での学び、成長機会になるという。
 最近、校則改正の動きは全国的に盛んであるが、校長や教育委員会サイドなど上からの改正の動きが強い。第2章で挙げられている学校も生徒有志が主体となって進めているという事例ばかりではない。書名のように校則が変わる、そして生徒が変わるという順序が現実なのかもしれない。しかし生徒が変わる、学校が変わるという書名の先には社会が変わる、未来が変わるという世界を信じたい。
(1980円 学事出版)
(元兼 正浩・九州大学大学院教授)

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