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社会教育における生活記録の系譜

14面記事

書評

新井 浩子 著
書くことで変わる青少年の姿

 書くという行為は、自己との対話だ。心の中の自分の気持ちを見つめて、それを文字にする。そうすることで、私たちは自己の内面を客体として眺め、認識できるようになる。
 子どもは学校教育で文字を習得し、作文などを通じて書くことに慣れ親しむ。その歴史は、明治5年の学制頒布後の作文教育・綴方教育に始まる。そして、明治期・大正期・戦時期における生活綴方教育や生活教育へとつながっていく。このような学校教育の広がりにより、青少年は読み書きの能力を身に付けていった。
 本書の主題は、青少年たちが、学校教育の外側の世界において活動していく様子を明らかにすることである。青少年たちは、いかにして自分の生活を見つめ、それを記録していったのか。生活記録を書くことによって、青少年は地域に生きる集団として、自らをいかに変革していったのか。本書は、これらの点について、さまざまな史資料の丹念な分析によって検討していく。大正期から昭和初期における労働者・農民の生活記録、戦時下における大日本青少年団の生活記録報道運動、戦後の山形県の生活記録、日本青年団協議会の生活記録運動、女性の自己表現活動など。本書で取り上げた社会教育における生活記録の数々は、書き・話し合い・伝えることを通じて成長する青少年の姿を如実に示している。
(4950円 春風社)
(都筑 学・中央大学名誉教授)

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