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高校文化祭の教育論 生徒の自主性・主体性を育てるために

16面記事

書評

小山 利一・小西 悦子 編著
意義を再検討、新たな可能性探る

 コロナ禍ではさまざまな教育活動が制限、制約を受けた。その最たるものが学校行事である。本書は「高校文化祭」に焦点を当て、その意義を改めて見直すとともに、コロナ禍に出現したオンライン利用などによるこれまでにない表現方法、教育課程の変更から「探究」を生かした学びの成果の披露など、文化祭の新たな可能性も探っている。
 「理論編」と「考察・実践編」(各7編)の2章構成に三つのコラムを配した。
 例えば「理論編」には、学習指導要領上の位置付けが記述され、卒業要件には、定めた単位数の修得に加え「特別活動の成果がその目標からみて満足できると認められるもの」が必要なことを再認識させてくれる。
 「考察編」を読むと、生徒の自主性、主体性を育むために「つかず離れず」の距離感をいかに保つか、生徒に寄り添う担当教師がいかに腐心しているかがよく分かる。
 数年間の行事未実施、若手教員の台頭などで文化祭のノウハウの継承が困難な学校や、新たな文化祭を模索する学校もあるだろう。
 探究に重点を置く文化祭の在り方、生徒に人気の飲食模擬店の出店の手順と注意、演劇に力を入れる伝統的文化祭の取り組み方などを収める「実践編」。付録としてQRコードを活用して情報拡充した、執筆者3人による「座談会」ともども参考になるのではないか。
(3080円 学事出版)
(矢)

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