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一刀両断 実践者の視点から【第355回】

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尾を引く教員免許更新制

 《教員免許失効状態で10か月勤務 県教委や学校も必要な確認せず 生徒の履修は認める》(静岡放送)という見出しの記事がまた出ている。免許更新制度の有益性について評価が分かれているが、結局は廃止された。
 この制度は学校や教師への負担を増やしただけと言ってもおかしくない。講習を受けて来た教師の授業力が明らかに高まったとは言えないし、費用も自己負担である。参考に見て回ったが、それなりの復習をさせる講義ばかりで講師には対価が支払われるが、当の教師は時間をやりくりし費用も支払う。その時間と費用があったら休暇に充ててリフレッシュして欲しいと感じていた。
 今回の報道によると、無免許ではなく、更新を勘違いしていた事を本人の責任にしているが、そうした無理難題のシステムを作って教師をさらに多忙にした張本人達は何ら責任を問われていない。教委に謝罪させるという理不尽さを容認してよいのだろうか。
 本来なら学校の先生方に政策立案者や政治家といった関係者が深々と「私達の権力争いの材料に教育を使い、先生方をさらに多忙にしてしまいました。罪滅ぼしに学校のトイレ掃除や採点処理を1ヶ月程させてください。そして先生方が更新の為に支出した金額と同等の額を先生方のリフレッシュ休暇予算に充ててください」とでも無能さを猛省すべきではないだろうか。
 さらに指導内容は果たしているのだから問題ないとするのなら、免許は何のために必要と言えるのだろうか、単位というシステムで大学資金や印税を得る為のものになってはいないかと問いたい。加えて医師免許や弁護士資格はなぜ更新がないのかも明確に示すべきではないだろうか。教師は文句を言えないし言えないから、時に乗じて金を集める手段が免許更新制度と言われても、明確な答弁がされた事は記憶にない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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