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一刀両断 実践者の視点から【第362回】

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論説・コラム

負の連鎖を止められぬ「学び」

 「京アニ」をめぐる裁判が始まった。被告人の過去が報じられている。この被告人は自分でこうした人生を選んだと言えるだろうか。前段の両親の離婚、父親による虐待、不登校の箇所がこうした人物の素地を作ったとしたら本人だけの問題と言えるだろうか。
 仮にこの事件は防げたかと問われたらあなたはどう答えるだろうか。そしてその為にはどの段階でどんな学びが必要だったのだろうか。
 それはどの教科ですべきだったのかと問うとほとんどは道徳と答えることだろう。しかし、その道徳が理屈や能書きや読解力や主人公の気持ちのレベルになっている現実がこうした事件や犯罪を止められない一因になっていると私は指摘している。
 現実の負の連鎖を止められない学びとは何のための学びなのかと糾弾したい。こうした負の連鎖を止められない、止めようともしないで学問を解く学者の傲慢な姿がこうした事件の背景に私は見えてくる。人の不幸は他人事なのであり加害者を教えた担任だったら、その責任は少なからず存在する。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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