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一刀両断 実践者の視点から【第368回】

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論説・コラム

悲しむ人をつくらぬよう

 《沈没の空母「赤城」の撮影成功 国際研究チームが初》(共同通信)という見出しの記事を見て、空母赤城の参謀だった叔父の事を思い出した。
 叔父は田舎の農家に育った。蓮華畑に子豚を追いかけて幼少期を育ったと伝えられた。蓮華に隠れると見えなくなると共にその匂いが忘れられない。
 叔父が赤城の参謀だった事は高校生の頃に母から聞かされた。確かに奥座敷の仏壇の脇に御影が飾られていた。軍人が多かったらしく軍服の写真がずらりと並んでいた。すなわち亡くなった男子である。
 その陰の台所で叔母や母や女衆が料理を拵えていた。それは悲しみを紛らわしているようにも私には感じられた。
 人には愛する家族がある。その人が人を殺し合うという戦争をなぜ人はするのか。悲しむ人をつくらないと言う事が教育の最大の目的ではないのか。悲しみへの流れが加速していると思えてならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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