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一刀両断 実践者の視点から【第369回】

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成績主義の弊害

 《極めて異例『取り調べの録音・録画』提出を国に命じる 無罪の元社長が賠償求めた裁判》(MBSニュース)という見出しの記事にあるように、法の番人の天秤が権力や忖度で狂っているのではないだろうかと思われる事が頻繁に起きてはいないだろうか。
 権力が動くと如何様にでも解釈が変化して裁判が何度も逆転する事実から法治国家は平等と教える事は現実に合っているのだろうかと疑問が膨らむ。
 医師の誤診も有耶無耶にされて患者が泣き寝入りする事も少なくない。
 私が教頭の時、集団接種で高齢の医師が注射を次々に打っていた。よく見ると腕の向こうに針が貫通して液が噴水のように曲線を描いていた。嘘のような本当の話である。
 その後もこの医師は町医者を続けていた。このように自分が不適と指摘されても平気で医師をやる神経は検事や裁判官などと同様に人間性の基準が示されておらず成績主義の弊害なのである。
 こうした弊害は政治家にも官僚にも至る所に存在している。それを正す為の教育力がないという結果なのではないだろうか。敢えてそこまで求めないようにした方が都合がいいと考えている輩の存在に気が付かないのだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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