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一刀両断 実践者の視点から【第399回】

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教員養成段階の鍛錬

 《指導教員「お前なんか教師になれない」 大声で怒鳴られけがも…元教育実習生が県を提訴 パワハラで就労不能に 千葉》(千葉日報オンライン)という見出しの記事には何とも考えさせられる。
 加害者は懲戒処分もされているというから事実と考えられる。この要因は様々あるだろうが、ひとつに他から授業を観られて指摘を受ける義務教育とは異なり、高校にはそうした参観指導なるものが存在していない。すなわち、我流なのである。
 そして経験を経てさらに大我流となってしまう。
 教科部会では話し合いはあっても、指導方法や授業の流し方と生徒への働きかけが、酷くても指摘は受けないからである。
 その反面小学校は校長をはじめどの教師も助言が出来る。中学校になっても指導主事などからの厳しい指導がされる。
 高校となると教科に分かれる為に部外者が口を挟めない傾向が強い。私は一度高校の校内研修に呼ばれて、個々に厳しく切り込んだ。生徒に考えさせて探究させるのは素材に関わらず授業力だからである。
 授業力は教員養成課程で鍛錬されない。学生が実習に来て、授業を適当に流しているのが現状ではないだろうか。この指導教師の言動は幼稚だが、本気で日本の教育を高めたいなら、養成段階で鍛え上げる必要がある。
 「なれない」と言われたら、「お言葉ですが、なって見せます」とでも、見事に切り返せるような学生となれるよう、日々の事件事故を素材にして授業を展開している。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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