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イエナプラン教育を取り入れた自由進度学習

16面記事

書評

岩本 歩 著
自立した学びを目指す公立小の実践

 その教育理念から実践まで紹介した『今こそ日本の学校に! イエナプラン実践ガイドブック』(リヒテルズ直子著)をかつて小欄で取り上げた(令和2年7月6日付)。1日3回の「サークル対話」、必要な知識を自立的に学ぶ「ブロックアワー」、時間割の一部に位置付ける「遊び」などを日本で実践するとしたら私立学校との印象を持ったが、名古屋市教委の「ナゴヤ スクール イノベーション」事業の一環として同市立山吹小学校が取り組んだ。その中心にいた著者が、導入のための留意点、実際の取り組み方などを示した。
 重点を置くのが「ブロックアワー」(複数教科で行う単元内自由進度学習)である。単元進度表、週計画の作り方や使い方(第2章)、子どもの心理的安全性を確保するための工夫(第3章)を語った上で、「ブロックアワー」へと至るために「1時間」「同一教科」で、「複数時間」「同一教科」で、「単元を通して同一教科」で、という段階の踏み方を提示した。自立した学びへと導く「インストラクションの始め方」(第5章)から自由進度学習での子どもの見取り(第6章)に言及し、ブロックアワーを取り入れた国語、算数、社会、理科などでの授業例(第7章)を示し、参考になる。
 学力の定着とともに自立した学びが身に付く実践の実現は古くて新しい課題。その方法論を示した本書は、個に応じた自立した学びを希求する関係者に貴重な実践書になった。
(2200円 明治図書出版)
(矢)

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