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最新 教職員の権利ハンドブック

18面記事

書評

全日本教職員組合弁護団 編
実効性ある働き方改革に向けて

 本書の11年ぶりの改訂の背景として、「学校における働き方改革」の動きや非正規職員の増大などが挙げられている。
 評者が特に注目したのは、第3章「健康で働きつづけるために」である。学校における働き方改革を推進する大きな法改正等が行われた。平成31年に改正された「労働安全衛生法」である。教職員50人以上の学校に、

 (1)衛生委員会を設置すること
 (2)衛生管理者を選任すること
 (3)産業医を置くこと

 が義務付けられた。衛生委員会は、長時間労働による教職員の健康障害の防止対策等を推進することなどが示されている。衛生管理者の職務は、週1回以上学校を巡視し、必要に応じて、教職員の健康障害を防止するための措置を講じることである。産業医は、教職員の健康診断や面接指導を行うとともに、月1回以上学校を巡視し、必要に応じて、教職員の健康障害を防止するための措置を講じる。なお、学校の設置者は常時雇用者数50人未満の学校に対しても、同様の措置を講じるよう努めることを求めている。
 しかし、本書が強調しているように、教職員の心身の健康は、自分自身のためだけではなく、子どものためにこそあるのである。本書を読み、権利は与えられるものではなく、自らの自覚と不断の努力によってこそ発展するという、権利獲得闘争の人類史の教訓を胸に刻むことの重要性について改めて考えさせられた。
(2200円 旬報社)
(新藤 久典・元国立音楽大学教授)

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