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一刀両断 実践者の視点から【第447回】

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夜尿症があったころのこと

 《小学校の授業中に児童をトイレに行かせなかったなど体罰や不適切な発言 男性教諭を減給3カ月処分》(テレビ岩手ニュース)という内容の報道がある。私は2度教室で漏らした事を鮮明に覚えている。その頃は夜尿症もあり頻繁に布団に地図を描いていた。
 膀胱が小さい為か頻繁にトイレに駆け込んだ。そんな時先生の機嫌が悪く説教が長くなり催して我慢できなくなり、先生に伝えたが無視されてそのまま漏らす事になったのである。
 こうした事は親にも言えず、クラスの仲間にとどまらず学年や全校に知れ渡って行った。皆の目が気になり登校する道でも何か笑い声やヒソヒソ話は全て自分事だと思えたのである。
 先生が聞きとめてくれなかったあの姿は今も鮮明に思い出される。それも私が教師になった要因のひとつと言える。
 あの経験があるから、児童からの申し出は気持ちよく受け止めて許可を出している。
 似たような事が教師になる前にもあった。免許申請での事である。通信で単位を取得していたので3月初旬にやっと単位が取れて県の免許担当へ発行依頼に出向いた。
 すると「個人申請は1ヶ月掛かるよ。4月には間に合わないな」と言われた。試験には合格している事を話すと暫くして「特別に出してあげるね」と言われた。あの時の落胆と担当の傲慢な態度は忘れられなかった。
 10年後その席に並ぶ任用の筆頭管理主事となり、その時の事を何度となく皆に話した。気持ちよく出してあげる事を指示できたのである。
 処分の内容は定かではないが、減給3ヶ月となるとかつて内申書の誤記入で再試験まで大事になった不祥事で後に管理責任を問われた校長と同じ程度となる。
 どちらが重いか軽いかの判断は分からないが、そうした不祥事が繰り返されないように出来るとは思えない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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