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運動部活動から地域スポーツクラブ活動へ 新しいブカツのビジョンとミッション

15面記事

書評

友添 秀則 編著
地域移行の課題を分析、指針示す

 令和8年度から、中学校の休日の運動部活動の地域連携・地域移行が本格的に実施される見込みだ。現在は、自治体で検討委員会を設け、在り方を探っている段階の所が多いのではと思う。
 こうした状況の中で、今後の取り組みに確かな指針を与えてくれる、画期的な書が刊行された。
 編著者は、スポーツ庁「運動部活動の地域移行に関する検討会議」の座長として、提言(2022年)を取りまとめた大学教授である。
 執筆陣は、各分野の一線の研究者や実践者の24人で、ラインナップを構成している。
 「子供たちのスポーツ権の保障」を重視し、部活動改革の背景と、新しいブカツのビジョンとミッションを分かりやすく解説。
 編著者は、「学校における運動部活動を地域移行することは容易なことではない」と明記。地域移行に伴う課題を、指導者、受け皿(運営団体・実施主体)、施設、大会の在り方、会費、安心安全と事故・保険等について取り上げ、現状をしっかり分析・考察している。
 これまでのわが国の運動部活動の歴史的考察を詳述している点も重要だ。
 スポーツ医科学の知見、今後の地域スポーツクラブ〈運動部〉活動の経営戦略、先駆的な実践や活動の紹介等が参考になる。
 「部活改革の本気度」「部活の『地域移行』の反対論をめぐって」等のコラムも興味深い。
(2750円 大修館書店)
(谷 智子・高知市教育委員会委員)

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