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一刀両断 実践者の視点から【第456回】

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授業時間の裁量拡大と混乱

 《小中学校の授業を5分短縮、年間で計85時間を弾力的に運用へ…各学校の裁量で自由に》(読売新聞オンライン)という見出しの記事のようにことが進んだとすると、現場の混乱が目に見える。
 問題は手段や方法を変えると目的が達成できるかと言うことである。手段や方法は目的の為に考えられるが、その一番は現状把握にある。この把握が間違っているとPDCAサイクルは負の連鎖を重ねることとなる。
 文科省の審議会委員は実態把握が極めて甘いように感じられて仕方がない。今回も指導内容を変えないで時間だけ短縮するとなるとどんな効果と負担が起きるのかをどこまで把握しているかと疑問になる。
 私なら歓迎するが、それを柔軟に活用できる者は多くはないだろう。何故なら言われた通りやるようにされているからである。自由裁量を喜ぶ者と困る者がいる。
 その為にも審議会の委員が学校現場に張り付いてやってみせる事が必要ではないだろうか。そうでないといつものように消化不良をおこして不信感と不満が蔓延してしまいかねない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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