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一刀両断 実践者の視点から【第461回】

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論説・コラム

お客様は神様か

 どちらが大切なのかと問われたら、ほとんどは「お客様」と答えるだろうが、私の経営の師匠はそうではなく「料理人」が一番、「業者」が二番、そして「お客様」が三番と指摘した。
 客の好みに料理を合わせたら料理は不安定になりよいものは提供できない。「食べたくないなら他の店へどうぞ」とするのが基本になると教えてくれた。おもてなしの「お客様は神様」とは真逆の視点である。
 もちろん丁寧な心遣いや対応はするが、金額が高いから安くしろと言われたら食材もいい加減にして仕上げることは出来るが、体には良くないので後で何倍もの付けになって返ってくる。
 安いには安い理由があり、高いには高い理由がある。これをお客が喜ぶからと味もその時その時に変えたら料理人は料理は作れない。
 確かにその通りである。こうして相手に合わせて自分を失い、身内を粗末にして気遣いばかりで疲れ果て、時には身内に至らない点を指摘してギクシャクさせ、信念があり有望な仲間を失うような事を私たちはしてはいないだろうか。
 そう考えると児童生徒や保護者が一番ではなく、先ずは教員が一番なのである。
 この視点を間違って外面ばかり、すなわち教委や議員に媚び諂うと教員の心は離れ学校経営はボロボロになる。
 こうした風潮は「お客様は神様」としたデパートの講釈師により一時期巻き起こったあの流行で教師の信念は揺らぐことになった。何を一番大切にすべきかは先ずは身内であり、それができないで他への対応が誠実に出来るわけがないのである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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