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Z世代の生徒とつくる はじめての部活動

16面記事

書評

浅見 和寿 著
部員の多様な価値観に向き合う

 今までは「多くの部活動の顧問が一人ですべてを回している」状態であったが、これからは「学校内外問わず、様々な人の力を借りる」。同様に「時間が許す限り長時間練習している」から「適切な練習時間を生徒とともに模索する」など、第1章では部活動の「いままで」と「これから」を描いて「アップデートする5つの視点」を示す。
 第2章以下第4章までの「令和時代の部活動顧問としての在り方」「部活動に参加する生徒のニーズ」「顧問も生徒もチームの一員」で各論を語り、第5章「Z世代とつくる部活動 ポイントまとめ」で結んだ。
 例えば、部活動への向き合い方が異なる生徒の多様なニーズ―積極的に活動したい、あるいは仲間たちと楽しく活動できればいいなどの温度差―にどう応えていくか。同時に、部活動の分野によっては専門外の指導を強いられる顧問教師が無理せず、充実した活動をどう作り出すか―公立高校の運動部活動顧問経験を通して、著者なりの改善案を語る。Z世代への対応は多様な価値観に向き合い、生徒と共に運営、活動する姿勢を大事にする。練習のビデオ化、情報共有にSNSを活用するなど、デジタルネーティブという特徴を踏まえた提案もある。
 従来の部活動にも教育的意義を感じる著者だが、働き方改革に端を発した部活動の転換期に、新たな部活動を創出するためのアイデア集として読むこともできよう。
(2090円 明治図書出版)
(矢)

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