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一刀両断 実践者の視点から【第475回】

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「お言葉ですが」と言う側近

 《掛川の保育園、保育士大半が退職へ 19人のうち15人 新規採用で運営継続》(静岡新聞社)という見出しの記事によると、この園にはかなりの問題が山積している様に思われる。
 通常ならば運営は困難になるはずが、運営継続で指導が入るとのことで済ませている。外面は繕えても内実はそうはいかない。
 幼児教育は可愛いのみでは済まないものが多くある。この退職は管理職や運営体制との不信感の表れであることは明らかである。
 これを小学校でやったらどうなるだろうか。現在の教員不足は公立のみでなく私立にも影響している。抜本的な待遇改善をしない公立を見限って私立に流れる教員が続出したらもっと大きな記事になるだろうが、それも今後起きないとは言えない。
 ある意味で、経営者スキルの低下を感じることは少なくはない。何故なら私立の管理職は指導をされる事がない為に自己鍛錬をせねばならないが、その機会は自ら求めないと養成は出来ない。
 私は新任管理職育成を担当して10年になるが、職について本領を発揮する人もいれば逆に権力の魔性に食い破られてしまう者も多く見受ける。名誉欲の為にリーダーになりたい人は基本イエスマンであり、トップになる為には白も黒とすることの出来る人物でないとトップにはならない。
 「お言葉ですが」と言う側近を身近に置ける度量がリーダーには求められる。そうした組織ならば前段のようなことは起きないだろう。あなたの学校は大丈夫だろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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