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一刀両断 実践者の視点から【第479回】

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論説・コラム

教員の感性、鈍化の訳は

 不登校の要因について、子どもと教師で認識に大きな差があるという。子どもに聞くと、体調不良や抑うつなどの理由が7~8割を占めたのに対し、教員では2割に満たず、「いじめ被害」や「教職員への反抗・反発」「教職員からの叱責」と答えた割合は3割に対し、教員は4%に留まったとのことである。
 認識のズレが何故起きるのか。単に教師に原因を求める様な事をしてはならない。
 教師に余裕を持たせない様にしているのは誰か。日課表を見てもらえばすぐ分かるはずである。
 ぎっちり組まないと教科書が終わらないしアクシデントがあれば予定は延び延びとなる。
 こうした実態に対応できる様に大学では教えてはいない。何故なら研究者の教授がほとんどであり、こうした日常の想定さえも困難だからである。なのに実務家教員を審査する際に文書実績を求める理不尽さがある。
 教育実習演習の講座を担当するのに「実習に関した論文や本などを書いていますか?」と問われた。
 何十人と実習生を受け入れて、その個々には資料を作成して何時間かの講義をしていたが、本や論文にする余裕はない。これを文書実績に出来る教師や校長の方が異様である。
 教師の方がいじめなどに敏感になる為に、そうした感性を磨く講座や演習を学生時代や新採用の時に経験しておかなければ、日々の業務に追われて子供の信号を受け止める受信機としての教師の感性は鈍化せざるを得ない。
 それが出来るようにしない、させない体制に問題がある。認識が不十分だと指摘するのなら、指摘している本人が教師の日常を経験してから不十分と言えるかお聞きしたい。
 それよりもこの実態にもかかわらず、少しでも認識できるだけでもすごい。これ以上教師を追い込むのではなく、元を正す方に視点を当てるべきではないだろうか。そうでないと益々魅力と実力そして人間力を兼ね備えた教師は輩出されない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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