一刀両断 実践者の視点から【第680回】
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日本で子どもを守るには
東京都立川市の小学校で発生した外部侵入者による暴行事件について、再び考える。私がかつて勤務していた学校には「赤道(あかみち)」があり、地域住民が校庭を生活道路として日常的に通行していた。つまり、防犯の対象は校舎内に限られていた。
一方、近隣の市ではガードマンを常駐させていた。同じ公教育の場でありながら、このような防犯体制の格差があることには疑問を感じるが、これが現実である。
ドイツの学校を視察した際、そこでは分厚い鉄の門が設置され、ドアホンによる認証を経なければ校舎内に入ることはできなかった。高い塀に囲まれ、外部からの侵入は物理的に不可能な構造となっていた。
多民族・多文化が共存する連邦国家として、常に不測の事態を想定した設計がなされていた。
本来、日本の学校もそのような構造に転換していかなければ、今回のような事件は今後も繰り返される。これは明らかに政治と行政の怠慢によるものであり、そのしわ寄せを受けるのは、常に子どもたちという弱者である。
安心・安全な教育環境を整えるには、まず学校設置者の意識改革が必要だ。
同時に、毎日のように報道される政治家の不祥事や不適格な人物の存在も無視できない。このような実態と、今回の事件とはどこかで繋がっているのではないかと思わざるを得ない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、大学教授、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)