解説 特別支援教育WGの議論 重度の子にも目を向けて
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今回の学習指導要領改訂作業では「多様性の包摂」が大きな柱だ。特別支援教育関係ではインクルーシブ教育の推進などが主なテーマとなっている。通常学級での支援充実はもちろん、特別支援学校に通う子どもや重度障害の子どもの支援についての活発な議論も求められる。
近年、特別な支援が必要な児童・生徒数は増加傾向にあり、学びの場を問わず、特別支援教育の充実は喫緊の課題だ。
中央教育審議会の特別部会が示した論点整理では障害の社会モデルの考え方を踏まえ、通常学級での合理的配慮、自立活動の充実などが示されている。中教審の作業部会(WG)ではそれを踏まえて、特別支援学校、特別支援学級、通級指導、通常学級での支援について幅広く議論。これまでに計7回の会合を開いた。
WGの柱の一つが、通常学級での支援の充実だ。事務局は、通常学級での多様性・包括性を尊重した学習者主体の授業づくりや、学級・集団づくりを基礎にした重層的な指導・支援のイメージを示した。通常学級でも障害のある児童・生徒が在籍していることを前提に、障害の状態などを踏まえて指導内容や指導方法を個別的に工夫。その上で校内委員会を中心とした対応や、教育的ニーズを踏まえた学びの場の検討が必要だとした。
会合では委員から通常学級での特別支援教育推進に向けて、環境整備や教員の専門性向上を求める声が相次いでいた。この他、自立活動について教師主導から子ども主体への転換を進める。通級指導でも自立活動を取り入れることを明確にする方向性だ。
WGでの議論の中心は発達障害や軽度の知的障害のある児童・生徒への支援だ。インクルーシブ教育の推進を求める意見が多く上がる。
一方で、重度重複障害への対応や特別支援学校の環境整備に関する議論がやや少ない印象を受ける。丁寧な支援を求めて特別支援学校を選ぶ子どもや保護者も多い。「多様性の包摂」を掲げるのであれば、こういった児童・生徒への視点を欠いてはならない。障害者の中でもマイノリティーの子どもたちへの支援についても、WGで丁寧な検討が必要だ。
特別支援学校での支援充実はインクルーシブ教育の推進と矛盾しないはず。学びの場ではなく、子どもを中心にした議論が重要になる。
(川)
