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生徒指導~小学校段階での考え方~【第36回】

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現場知らずでは功ある者を失う

 「ひどい教師なんです。辞めさせてください」と保護者から連絡が入り、担当から、研究校の講師をしていた関係で私に問い合わせがあった。担任の教員は、荒れているクラスを建て直し、規律を持った経営をされていた。好き勝手にやってきた者達は不満を高め、親も同調して「県議を連れてくる」と言っている。「小学校ではよくあることですよ」と、その担任の教員のことも知っていたので詮索をしなかった。
 すると担当は、私には話が通らないと思い、上司に連絡して内々に課長や校長を動かし、担任を休職へと追い込んだことがあった。担当は高校籍の生まじめな人物であったので、「担任を変えろと、辞めさせろ」と言う言葉と、「県議を連れて行く」の決まり文句におびえて、立場を使い空中戦で片付けたのである。
 後日、当の県議に会ったときにその件に触れ、追及したところ、「そうでしたか」と、うすら覚えであった。こうしたできごとは少なくない。小学校現場を机上で判断し、おびえて電話で処理する杓子定規の人物を充てると、こうした対症療法の理不尽な所業により、子どもも教師も萎縮させ、功ある者を失ってしまうのである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~