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生徒指導~小学校段階での考え方~【第58回】

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親育は、まず自分から

 小学校の「親育」は誰もやろうとしない。祖父母との同居経験がなく親としての在り方や素地を親になってから学ぶ実態がある。
 幼児を道連れにする母親の自殺に関する報道はかなりの数になる。生活と子育てに追われノイローゼとなり自分を見失いやすい時期とも言える。
 教師自身も親になると、育児休暇を終えて復帰する時には、浦島太郎の状況になっている。仕事に加えて親業そして家事も重なりヘトヘトになりながら業務をこなす。
 以前にも指摘したように、生徒指導は、心に変化を感じるゆとりがないと受信機が機能しない。
 先日、幼児を車で迎えに行き、帰宅途中の出会い頭に郵便配達のバイクの方を跳ねてしまったという。新婚間際だった相手は死亡し、運転していた先生は妊娠していたと聞いた。相互に痛ましい。
 教師の共働きで一番きついのは、副担任がいない小学校教師ではないだろうか。特に低学年の担任や学級規律が乱れている場合は、心身ともに疲労困憊となる。
 加えて、多動な子どもが数人いたら、トイレにも行けないで膀胱炎になることもある。
 その意味では、親を支援する制度をしっかりと位置付けて、安定させることが生徒指導を行うための土壌づくりとなる。
 ここに最大限の手を打つべきなのである。他人事にせず、それぞれの立場でやれることをやるしかない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~