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生徒指導~小学校段階での考え方~【第85回】

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訴えられる方が楽である

 「モンスター」と呼ばれる人は寂しがり屋さんでもあるが、「お前を辞めさせてやる。訴えてやる」と激情して恫喝する傾向がある。感情のもつれならまだよいが、人格に難があるとなると、距離を置く必要がある。
 教師の多くは純粋であり、「よい人」なので、受容をベースにしている。さらに批判には慣れていない。よってこの部類を理解できない訳である。

 できるなら「触らぬ神に祟りなし」だが、筋を通す生徒指導においては、この部類と関わらなければならない時がある。そこで、「訴える」ときたら「待ってました」と悠然と構えるとよい。
 それは訴えられる方が楽だからである。その時のために年間数千円の訴訟保険に入っておくと、煩わしい親とも会わずに弁護士相互でやってくれるから楽でよい。訴訟社会になると言われる。「明日は我が身」と心したい。

 ただ、弁護士も得意分野があるので何でもできるわけではない。逆に、得意分野であれば難しい案件で無罪を勝ち取ることもできる。さらに地裁、高裁、最高裁と裁判所によって判断が変わったり、冤罪を生んだりするなど、法は絶対ではない。
 法は人によって左右される。未成熟なのである。やましいことがなければ、「訴えてやる」という言葉は怖くない。笑い飛ばすくらいでちょうどいい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~