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生徒指導~小学校段階での考え方~【第99回】

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犠牲になる子どもが減らぬ訳

 今回の問題でも小学校4年生が犠牲になった。
 ある番組で「父親の入院から母親の精神もさらに不安定になり、経済苦も重なった。児童相談所の対応も責められない」と、ゲストがコメントしていた。要は「仕方がなかった」と、済まされる訳である。
 こうした人災を防げないのは、現場目線がないからであり、責任放棄の容認とシステムの改善を提起できない非力さがある。傍観視するコメンテーターの発言が世の風潮をつくり「仕方がなかった」と諦めの風潮を蔓延させてしまう。

 「適切な措置をした」と児童相談所の所長は緊張気味に話したが、それでよかったのかと問いたい。
 決められたことをマニュアルに沿ってやれば、結果がどうであれ責任は果たしたことになるのだろうか。「家に返しても大丈夫」と判断したその判断が間違っていたとされないのが不思議でならない。
 結果からして、検証されないならば、こうした出来事は繰り返されることになる。

 責任を果たすとは、誰かが謝罪するのではなく、不幸を繰り返さない事である。
 いじめの隠蔽や対応の遅延が何度指摘されても繰り返される。そうさせない初動のシステムが実態に則していないのと、職員の訓練が出来ていないために、手遅れや不備、判断ミスを正当化する話術は上達しても、犠牲になる子どもは減らない。コメンテーター自身の家族が犠牲になっていたら「仕方がなかった」では済ませないだろう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~