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生徒指導~小学校段階での考え方~【第119回】

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お金で国外逃亡、どう教えるか

 子どもから聞かれた。「悪いことをしてもお金を出すと釈放されるのは何で?」と。どう答えればよいのだろうか。
 地獄の沙汰も国外逃亡も金次第、悪いことをしてもお金があれば何とかなると言った方が現実的なのか。大人がいくら正論を話し、道徳を教えても、説得力がなくなってしまうことが、様々な場面で頻繁に起きているように感じる。
 子どもに分かるように、未来に希望を持てるように、指標を示すのが私たち大人の役割である。
 このような場面で「どうせ」とか、「仕方ない」他人ごとで済ませたり、曖昧にしたりしてはならない。すなわち理不尽なことに対して、わがこととして怒りを込めて、眼前の大人が自分の考えを表明する必要があるのだ。
 テレビの無責任なコメントは参考にせずに、一人の人間として不正を見抜き、相手によらずに堂々と「ならぬものはならぬ」と教えなければならない。これが倫理であり、生徒指導である。くれぐれも組織の都合で行う生徒指導に成り下がってはならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~