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生徒指導~小学校段階での考え方~【第145回】

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災害時の判断力を磨く

 防災教育は、どのように行われているのだろう。石巻の悲劇、釜石の奇跡と言われた。「てんでんこ」の発想は自分の命は自分で守ることにある。これも生徒指導が基盤にないと適切な行動は期待できない。
 避難訓練も同様に日頃の生徒指導がどこまで浸透しているかが確認できる場でもある。「お・は・し・も」と、頭文字をとってポイントを提示している学校もある。「押さない・走らない・しゃべらない・戻らない」であるが、これも本来は状況によるため、万能ではない。

 その場の判断力が大切になる。状況に応じた適切な判断が出来ることを目標とする自己指導能力が日頃から意識されていないと、防災や不審者等への対応は知識のみのものとなってしまう。
 最悪を想定すると、「その場に教師がいない」状況となる。トイレ中、給食運搬中、着替え中、休み時間中、保健室で仮眠中など素早い動きの取れない場面に個人としてどう対処するか。まして車椅子の児童は誰がどのように運び出すのか。
 常に最悪を考え行動する意識を持って、日頃から児童にどのような判断力を付けられるかがポイントになる。加えて、学校は避難所となるため児童の安全に加えて地域住民他への協力も求められる。

 管理職が不在、あるクラスは公園へ、など学校は常に変化している。教員の通勤時間は概ね1時間程度としているから、遠方の教員は緊急時現実的には学校へ来られない。より実践的に児童が判断して行動出来るように指導しておく責務がある。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~