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生徒指導~小学校段階での考え方~【第183回】

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「生徒に好かれなくても」でよいか

 生徒指導の困難校ばかりを転々とした高校教諭が、講話が終わったときに近づいて来て握手を求めた。「先生にもっと早く会っていたら、僕はこの地に残ったと思います」と、涙をためて語った。
 道すがら話を聞くと、生徒指導を極めたいため、大学院にも行って、名だたる学校ばかりを希望して勤務したが、意見は取り上げられず、本気で関わろうとする教師が極めて少ない現実を伝えてくれた。

 次の学校では、次の学校ではと期待したが、まず、管理職の姿勢に言葉を失ったと言う。
 「保守」が悪いのでない。「保身」が先となるからではないか。「攻めは最大の防御」ともいうが、生徒指導の「攻め」は威圧の意味ではない。

 先日ある中学校の研修会のアンケートに、「私は生徒に好かれなくても指導をしたい」と身を挺して臨む事が書かれていた。使命感は素晴らしいが、余裕のなさを感じた。思いだけでは勝負にならない。
 教師の価値観や使命感はバラバラであるから、共通理解の徹底、一枚岩になる事はない。対一人になれば別人となる。
 一番好かれる教師とはどんな教師だろうか。それは「一番厳しくて、一番優しい先生」と言われる。そしてぶれない信念を持ち、ユーモア豊富で、一緒に汗してくれる先生は好かれる。
 生徒には慕われ、管理職や同僚に落胆し職場を去る選択をした彼の損失が悔しかった。現在は大学で教鞭をとっている。熱さは失っていない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~