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生徒指導~小学校段階での考え方~【第189回】

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三度の辞表

 慢心の先輩の中で育つことも大切なのである。「こうはなるまい」と心に刻めば、よい経験になるからだ。権力を得ると人間が変わると言われるが、権力には魔力がある。
 「バッジを外せばただの人」とよく言われる。強がれる相手は強がり、自分より強い相手には平身低頭に振る舞う。多くの学生が居酒屋でバイトをしており、酒の力で威張り絡む醜い醜態を見ている。

 素になった時、すなわち家庭に帰ったときに本当の力量や器が分かる。
 ある会に議員が来た。普段は横柄な者が「我れ先に」と議員に酌するために並んだ。滑稽に見えた。それを心地よしとする議員は更に醜い。こうはなるまいと思い、校長を志した。すなわち批判するだけでなく、自分が変えればいいのである。その決意は営利栄達の者よりはるかに強固となる。

 幸いにその過程の中で、大恩の人にも出逢えた。三度の私の辞表は、今も預けたままになっている。
 あの時、「俺が預かる」と先輩に言われていなければ今の立場はない。生徒指導はある意味、辞職の範囲に踏み込む事になる場合がある。それを察した校長ならば、よく話を聴き、是々非々は勿論のこと、後継のため腹を決め「責任は私が取るから、やってみろ。そのかわり辞表は預かる」と、してほしいものだ。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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