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生徒指導~小学校段階での考え方~【第192回】

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師は弟子から学ぶ

 教え子が1人前の教師へと育ててくれたとつくづく思う。教え子が自分よりも先に亡くなることほど悲しいことはない。私も二人を亡くした。
 一人は高校生の時に新聞配達の交通事故で、もう一人は母となり、養護教諭として生徒のために頑張っていたとき白血病が分かり1ヶ月持たなかった。不思議に小学校の時の様子が鮮明に蘇る。こうした別れは考えられなかったからこそ、自分がどのように関わったのかを思い出す。

 教師の仕事は、とてつもない数の人と出会う事になる。その人生に関わる事になる。単なる知識を教えるだけではない。叱ったことや、笑ったこと、走ったこと、励ましたこと、その子の書いた文字までも目に浮かんでくる。もっと出来ることはなかったか、あのときの対応はよかったのかと、過去を振り返ってしまう。

 非力で慢心者ほど、「あいつは俺が居なかったら、あそこまでにはなってない」と自慢して話すが、滑稽に映るときが多い。
 師が弟子から学ぶことは多い。あの孔子は、自ら野に下り命を晒しながら辻説法をした。そんな師の指導を弟子が口伝し、何百年と伝えに伝え「論語」となった。論語は生徒指導の要素とかなり重なる。言動一致なき者が引用すると茶番に聴こえる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~