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生徒指導~小学校段階での考え方~【第209回】

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「出来上がった人間」ではなく「伸びる人間」を

 生徒指導には優れた判断力と行動力が求められる。その基盤となる人格はどこで、どのように身に付ければよいのだろうか。知識や方法は学ばねばならないが、それをどう活用するかはすべて人格による。人格の育成は、産まれもってのものではなく、小手先で何とか出来るものではない。意図的に意識的に鍛えて高めるものである。具体的には、「やらなければならない事」と「やってはならない事」がある。それ以外の教師にも当てはまるが、取り分け生徒指導の任を果たすには欠かせない12の要素が以下である。

 ・素直であること、臆病ではないこと
 ・誠実であること
 ・組織を活用する手腕
 ・人間教師としての信念
 ・コンプライアンス
 ・平均以上の法的知識
 ・利他の意識
 ・忍耐力と度量
 ・バランス感覚
 ・社交性
 ・繊細にして大胆
 ・辞職の決意

 これらはどこで身に付け、学べるのだろうか。早くは高校時代からが適当と私は思っている。さらに大学や社会人、教師になってからである。当然一人では鍛えられない。「チーム学校の組織力」や「よき指導者」があって、はじめて育成が可能となる。
 この育成は、素地を見極めて登用するところから始まる。すなわち「出来上がった人間」ではなく「伸びる人間」を見極めて登用するのである。安易に年齢や経験で割り振るものではなく、役が人を作ると考えて、上記の12の視点をヒントに見極めて欲しい。仮に裏切られても、それはこちらの問題であって、また振り出しから始めればいい。このくらいの腹がないと人は育たない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~