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生徒指導~小学校段階での考え方~【第214回】

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学校教育目標とラジオ体操

 わずか数分で全身をほぐす事の出来るラジオ体操は、以前は体育授業の定番になっていた。最近は、授業の中にしっかりと組み込んでいる学校は少ない。指先まで伸ばし、丁寧にやると全身に汗をかく。夏休みには公園から子ども達の元気な掛け声が聴こえてくる。ここに子どもが集う数でも地域力が分かる。
 小学校では知徳体の目標を掲げている学校は多い。生徒指導は、そのどの目標の具現化にも深く関わっている。

 集団のルールを学び、喜びを感じる体育では、日常の生徒指導の浸透度が表出する。例えば、災害などで運動会の予行練習が1時間しかできないとしたら、他はすべて授業のなかでやらねばならない事になる。授業の特質を活用したカリキュラム・マネジメントの工夫が始まる。私も卒業式を1時間のみの練習で当日を迎えた事があった。緊張感も重なり、例年にも増して厳かとなった。満たされない不自由な中でこそ、知恵や工夫が生まれるのである。

 たかがラジオ体操かも知れないが、奥は深い。誤魔化しの効かない姿や行動は、100の能書きよりも確かなものである。その一人一人の姿の中に、自校の教育目標が具体的な姿となって映し出される。その時の児童の姿こそが教育の成果である。教育力は学校名や地域ブランドで測るのではなく、児童個々の何気ない仕草の中にこそ表れる。
 個人的にはラジオ体操第二が何処となくユーモラスで楽しく感じる。先ずは、楽しく汗してやってみせる事から始めたい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~