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東京・青ヶ島の学校から~日本一人口の少ない村の学校での取り組み~【第20回】

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コミュニティ校になり「歴史」を学ぶ

 「昔は、子供たちが危ないことをしていると怒ってくれる人がいたが、今はそういう大人も少なくなっています」。「以前は、体育館の鍵が年中開いていて子供たちがいつでも自由に入れたのが(放課後の居場所確保の上で)大きかったと思います」。
 小学校低学年の子供たちの放課後の遊び場がないという学校の教員が感じている問題に対して、学校運営協議会委員の方から活発な意見が出されました。これらの話し合いの結果を元に、放課後の居場所作りに関して、改善の方向に向かっていきました。
 青ヶ島小中学校は、今年度から「コミュニティ・スクール」を導入しました。学校運営協議会には、保護者から2名、地域住民から2名、関係行政機関から1名、学校関係者として校長・副校長の3名が委員として教育委員会から任命されています。
 一学期は、5月と7月の2回の学校運営協議会を開催しました。5月の会は、最初ということで、コミュニティ・スクールについての説明や学校経営計画等の説明で大半が終わりました。7月の会は、学校の教育活動の参考とするため、「過去に青ヶ島小中学校で行われていた行事や社会活動等」について、委員の方から話をしてもらいました。
 大凧作りや、「月桃」という植物を材料とした草履作り、ナイト・キャンプなど、昔の思い出とともに活動内容を説明してもらいました。青ヶ島小中学校のホールに飾られているいくつもの大きな凧(最大縦180cm×横100cm)=写真参照=は、その時に子供たちが一生懸命作ったものだそうです。
 過去の様々な取り組みの話を通して、青ヶ島小中学校の歴史を知るとても良い機会にもなりました。また、現在小学校5年生が青ヶ島に生えている「月桃」をいろいろと調べたり試したりしていることを話題にし、場が盛り上がりました。
 島の方からいただいた「月桃」を利用し、その葉でお茶を作ったり、「ひんぎゃ」で蒸してエキスを抽出し、石けんをつくったりするなど、それらを青ヶ島の特産品として販売した場合の可能性について、委員の方から様々な良い意見をもらうことができました。
 学校運営協議会副会長の廣江拓哉さんは「私は、青ヶ島中学校を卒業して17年になります。今でも、地域のスポーツ団体を通して青ヶ島の子供たちにスポーツを教えています。学校は、私が通っていた頃とは、様々なことが変わってきていますが、興味のあることや楽しいことに取り組む時に見せる子供たちの集中力と行動力は変わっていないと感じています。卒業生として、また地域の一員として、これからも子供たちのために関わっていきたいと考えています」と語ります。
 現在、青ヶ島小中学校はコミュニティ・スクールとして、このように地域の方とともに活動を歩み始めたところです。今後も、より多くの青ヶ島の方々との関わりを広げながら、学校教育を進めていきたいと考えています。
(木下和紀・青ヶ島小中学校校長)

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