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コロナ時代に考えたい学校問題【第108回】

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教育長による「パワハラ」の報道

 教育長からのパワハラがあったと休職中の校長が訴えたという報道があった。
 その記事には、何ヵ所か違和感が残った。教育長の言動を責めようという意図を感じるからだ。そして、名簿の序列で校長は見下げられていると感じたとか、教育長から「子どもをばかにしているので降格願を出しては」と言われたなどと報じられている。前後のやりとりがはっきりしないが、自分の信念があれば気にしないか、言わせておけばいいことである。
 この程度の事は私は何度もされたので気にしなかった。教育長や議員、首長の為に校長をしているわけでもないし、媚びへつらう必要はないからだ。雇い主は税金を支払ってくれている保護者であり子どもである。その為に満足度の高い教育を提供するのが本務であるのだから、教育長の言動にいちいち左右される必要はない。
 ある意味、この校長は、教育長への依存が高く、校長として高く評価して欲しいという願望が強いように感じられる。本当の評価は、子どもたちの変容であり向上にある。どうもこの記事からすると校長としてどちらを向いて仕事をしていたのか疑問になる。

 よく退職校長会の集まりで見る光景がある。元教育長には誰も酒を注ぎに行かないし、昔の取り巻きも年々減っていくようである。因果応報なので哀れを感じる事が多い。権力がなくなれば人間性しか残らないからだ。
 教育長が、教育職か事務職かといえば、教育職とは言いがたい。そして、首長のブレーンとなっている者がほとんどであろう。教育職であろうと貫徹するならば、施策や判断において認めがたい事が起きるものである。その際、自らの進退をかけて譲れない事が多くあるはずである。何のためにその職を受けたのか。この問いを自らに課して貫徹すれば、退職校長会の集いは楽しいはずである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題