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コロナ時代に考えたい学校問題【第179回】

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「内申書」で教師が脅し取る

 《授業中に小石投げた生徒、中学教諭が保護者に「内申書に影響」…50万円脅し取る》との報道があった。50万円という示談相場が分からない。この案件はお金で解決する問題ではない事は明らかである。
 昔は教師からチョークや黒板消しが飛んできた。よけるとげんこつが落ちてきた。そうではなくて、生徒が教師に小石を投げるとはどのような場面なのかが想像できない。明らかに授業が成り立っていないようにも感じられる。示談で納める問題ではなく、いくら条件を提示されても必要であれば記載すべきである。合わせてこの教師の書いた内申書の信憑性や評価自体が酷いものであることは想像できる。
 ベテランの教員だったようである。この年齢で、この価値観でやってきたのだから、歪められた評価で人生の進路を曲げられた生徒はかなりの数になるだろう。こうした教師にへつらって高い評価を得た生徒と反発して低い評価を得た生徒では、どちらが良いと見られるだろうか。紙ベースのみならこの視点で評価が出され続けたことなる。高校入試の際の内申点として用いるべきではない。しかし、こうした出来事がなければ、生徒への評価の視点も明らかにならないのが現実ではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題