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教育現場におけるSNSのマナーとリスクマネジメント【第3回】

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論説・コラム

休み明けには要注意!増え続けている「SNSいじめ」

 そろそろ新学期ですね。長い休み明けには不登校や自殺が増えるといわれますが、その原因のひとつが「いじめ」です。中でもSNSいじめ・ネットいじめは、従来のいじめと違い「逃げ場」がなく、「(夏)休み」もないため深刻です。子どもを被害から守る一方、加害者にしない方法について解説します。

増え続けている「SNSいじめ」

 近年、SNSいじめ・ネットいじめは増加傾向にあります。文部科学省による「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によると、いじめの認知件数は減少しているのに対し「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」の項目では、平成26年から増加傾向にあります。(平成26:7898件、平成27:9187件、平成28:1万779件、平成29:1万2632件、平成30:1万6334件、令和元:1万7924件)
 また同調査によると、高校におけるいじめの態様では、小中学校と同じく「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最多。「パソコンや携帯電話等で,ひぼう・中傷や嫌なことをされる」が続きます。
参考:文科省「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

 夏休み明け、子どもの様子がおかしい際には、原因としてSNSいじめの可能性も考慮していただけると幸いです。

SNSいじめの被害を受けたら

 SNSいじめの加害者は、同じ学校の児童・生徒とは限りません。被害者と面識のない第三者が加害者の場合もあります。被害を受けている場合には以下に挙げる対応がお勧めです。

(1)「静観」し、収まるのを待つ
 なお、法的措置を行う可能性も考慮し、以下に挙げたものは保存しておきましょう。
 ・誹謗中傷の投稿(メッセージ)画面キャプチャ、URL
 ・誹謗中傷の発信者のプロフィール画面キャプチャ、URL
 ・誹謗中傷が書き込まれた日時

(2)おさまらず悪化した場合は、SNSプラットフォーマーに削除依頼
 「投稿を報告」「ツイートを報告」など、SNSごとで提供されている報告フォームから、誹謗中傷の削除依頼を行いましょう。

(3)悪質な場合は、発信者情報開示請求を基に法的措置を検討
 プロバイダ責任制限法に基づき誹謗中傷者の発信者情報の開示請求を行いましょう。発信者が特定できたら損害賠償請求などを行う事例もありますが、この分野に明るい弁護士に相談するのがお勧めです。

子どもたちを無自覚な犯罪者にしないために

 子どもたちは軽い気持ちで「SNSいじめ・ネットいじめ」を行いがちです。これらが「犯罪行為」にあたる場合があること、具体的には以下に挙げる罪などに該当するケースがあることに関する指導が大切です。

・侮辱罪
 SNSやインターネット上で個人を名指しで「A子ってブサイク」「Bは学校一のバカ」など中傷する行為は、侮辱罪に該当する場合があります。有罪となれば「1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」が科されます。
 ※インターネット上の誹謗中傷増加に伴い、侮辱罪は令和4年の改正刑法で厳罰化されました。

・名誉毀損罪
 SNSやインターネット上で公然と人の名誉を傷つける行為は、「名誉毀損罪」に該当する場合があります。「C子は万引きの常習犯」「Dは犯罪者の息子」など、デマであれ真実であれ、公表されることで本人の名誉が毀損される恐れがあれば成立します。有罪となれば「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」が科されます。

教育現場におけるSNSのマナーとリスクマネジメント