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教育現場におけるSNSのマナーとリスクマネジメント【第8回】

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論説・コラム

学校がSNSを効果的に活用するには【後編】

 前回と今回は、学校が「広報」「マーケティング」の一手段としてSNS活用する際に役立つ情報や事例をご紹介しています。前回は、学校がSNS活用を計画する際にまず「目的」「ターゲット」、次に「適切なSNSを選ぶ」ことが大切であることを解説しました。今回は、「何を投稿したらいいか」など、よくあるご相談へのアドバイスと、実際にSNSを上手に活用している学校の事例をご紹介いたします。

お悩み(1)「学校の公式アカウントで何を投稿したらよいのかわからない」

 「とりあえずSNSアカウントを作ったものの、どうしたらいいかわからないので、適当に校内の写真を投稿してみた」「使える写真などないので、入学試験案内などのパンフレット類を何となく投稿している」そんなお声を時々耳にします。

 「とりあえず」「なんとなく」ではなく、「目的」「ターゲット」をしっかり意識してSNS投稿をおこないましょう。「SNSを使って何を実現したいのか、そのために誰に対して情報発信するのか」という点はブレてはいけません。

お悩み(2)「投稿内容がニュースやお知らせばかり。読んでもらえる工夫などを知りたい」

 SNSでは、つい「学校が伝えたいこと(ニュース・入試情報・メディア掲載情報・イベント報告等)」ばかり発信しがちですが、そうすると一方的かつ堅苦しい印象をユーザーに与えてしまう可能性が高まります。おすすめは、「学校が伝えたい情報」×「ターゲットとの関係を深める要素」の2種類の要素を組み合わせた投稿をおこなうことです。この「ターゲットとの関係を深める要素」は、「やさしきタイ」と覚えることができます。貴校が伝えたい情報に、以下「やさしきタイ」の中から1つ以上の要素を組み合わせて、ターゲットに響く投稿案を考えてみましょう。

――――――――<やさしきタイ>――――――――

・や:役に立つ
周囲に教えたくなる有益なトリビアや豆知識。「在校生/卒業生/教職員だけが知っている情報」「実際に行ってみた/やってみた」「AとB比較」「ランキング(例:生徒に人気のランチメニュー、学校行事)」など

・さ:参加できる
投稿を読んだターゲットが気軽に回答したくなる要素。簡単なクイズ、 アンケート、 パズル、間違い探し、迷路など

・し:親しみやすい
「おはようございます」「よい週末を」などのあいさつ、 寄せられた質問に回答するなどSNS上でコミュニケーション、キャラクターや動物を使った投稿、「教職員の素顔紹介(インタビュー)」、「学園祭の舞台裏(委員会の奮闘ぶりを紹介)」 など

・き:共感できる
「おいしそう」「かわいい」「かっこいい」「懐かしい」「すごい」「感動した」「驚いた」「知らなかった」 など、投稿を読んだターゲットが共感する/ポジティブな感情を呼び起こす内容

・タイ:タイムリーである
投稿日(季節、記念日)や投稿時間にあわせた投稿、社会やSNSで話題になっているテーマやトレンド、ポジティブなニュースなどにからめた内容

――――――――――――――――――――――――――――――――

学校のSNS活用事例

 それぞれの「目的」「ターゲット」をしっかり決めて、それらに最適なSNSを選び、うまく活用している学校の事例をいくつかご紹介します。ぜひご参考になさってください。

・福岡女子商業高等学校(TikTok)
https://www.tiktok.com/@fukuoka_joshisho
 広報を実践的に学ぶ部活「キカクブ」の生徒が動画のテーマ選びから撮影、編集まで行い、顧問教諭のチェック後に投稿しています。学校行事、部活紹介、ダンスなど同年代に親しみやすい内容が好評で、受験生からの質問やコメントが寄せられている他、実際に入学者数の増加にもつながっているそうです。

・駒澤大学(LINE)
(参考)https://www.linebiz.com/jp/case-study/komazawa/
 同大教務部のLINE公式アカウントでは、在学生から寄せられる質問に対し、チャットボット(人工知能を活用した「自動会話プログラム」)を使って回答する運用を行っています。24時間利用可能な点も好評で、履修登録時期など多い月は1日平均1,000件以上の質問が寄せられているそうです。

・ルネサンス大阪高等学校【公式】(Twitter)
https://twitter.com/runeosaka/
 学校のイベントやニュース、生徒の日常などを投稿するだけでなく、「質問箱」をつくって受験生からのさまざまな質問にも丁寧に回答しています。一方的な情報発信だけでなく双方向コミュニケーションも重視している点が好印象です。

・神戸ベルェベル美容専門学校(Instagram)
https://www.instagram.com/belebel_kobe/
 加工し過ぎない&スマホで撮影したと思われる在校生の写真や動画を多数投稿し、受験生に「リアルな学校生活」をわかりやすく伝えようとしています。また、Instagramストーリーズで投稿した多数の縦型動画は「オープンキャンパス」や各科別などわかりやすく分類して表示するなど、見に来てくれるユーザーへの心遣いも好印象です。

教育現場におけるSNSのマナーとリスクマネジメント