日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

教育現場におけるSNSのマナーとリスクマネジメント【第7回】

NEWS

論説・コラム

学校がSNSを効果的に活用するには【前編】

 最新の「情報通信白書」によれば、インターネット利用者に占めるSNS利用者の割合は前年よりさらに上昇し、全世代で約8割に達したそうです。
(参考:「情報通信白書 令和4年度版」)

 また、中学生・高校生を対象に実施された複数の調査結果を見ると、「SNS利用率は9割超」という驚くべき数字が並んでいます。

 行動制限も撤廃され「巣ごもり需要」も落ち着き始めたといわれる昨今ですが、SNSは生徒や学生はもちろん保護者世代にもすっかり浸透しており、「情報収集」や「コミュニケーション」の手段として今後も活用されていく可能性は高そうです。

 このような時代においては、企業のみならず学校も「広報」「マーケティング」の一手段としてSNSを活用するのが望ましいでしょう。学校では、児童・生徒や、その保護者との連絡手段としても有効のようです。ホームページとは違って最新の情報が自動的に手元の情報端末に届くからです。今回と次回は、学校がSNSを効果的に活用するためにお役立ていただける情報や事例などをご紹介していきます。

「わが校でもSNS活用だ!」→まずは「目的」「ターゲット」を決める

 「これからの時代はSNSだ!」と勢いに任せて自校のSNS公式アカウントを作ってはみたものの、「何を投稿したらいいかわからない」「何の反応も成果も得られていない」と悩まれるケースは多いようです。大切な目的/ゴール(根幹)を決める前に、施策(枝葉)から始めようとしていませんか。

 貴校でSNS活用を進めることになった際には、まず「目的」「ターゲット」から決めることをお勧めします。

【目的】SNSで何を実現させたいか
(例)
 ―児童生徒の保護者による学校理解の増進
 ―在校生への連絡周知
 ―学校の認知度向上
 ―受検者数/入学者数増加
 ―在校生・在学生の満足度向上
 ―寄付促進

【ターゲット】対象とするユーザー層
(例)
 ―受験生
 ―受験生の保護者
 ―在校生/在学生
 ―在校生/在学生の保護者
 ―卒業生(OBOG)

ユーザー層や特長などを理解し「活用すべきSNS」を選ぶ

 「目的」「ターゲット」が決まったら、次は「活用すべきSNS」を選びましょう。Twitterもやりたい、Instagramもやりたい、と欲張っていきなり複数のSNS活用を始めるのは大変ですし継続も困難です。お勧めは「スモールスタート」。各SNSのユーザー層や特長などを理解して、貴校の「目的」「ターゲット」と親和性の高いSNSをひとつ選ぶところからはじめましょう。

【各SNSのユーザー層】
 SNSごとに、年代別利用率やユーザー属性(年代・性別など)には特長があります。「ターゲットがより使っていそうなSNS」を選んで活用してみることをお勧めします。
(参考:「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」内【令和3年度】主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(全年代・年代別)をもとに作成)

【各SNSの特長】
 SNSごとに特徴・強み弱み・世界観などが異なります。目的達成に適したSNSがどれか検討してみましょう。以下、6種類のSNSにおける特長を簡単にまとめておきましたが、より詳細な内容はGoogle検索や書籍などで確認いただくことをお勧めします。

LINE:圧倒的なユーザー数(9300万)。スタンプなど独自機能が多く、生活インフラとしても定着。
Twitter:匿名による気楽なコミュニケーションが活発。拡散力が強く「炎上」しやすい点は要注意。
Facebook:実名利用・中高年層やビジネスパーソンの利用が多く、ややフォーマルな雰囲気が漂う。
Instagram:女性が過半数、画像や動画の投稿が基本。24時間で消える「ストーリーズ」投稿も人気。
TikTok:短尺動画中心で10代の支持が高い。フォローされていないユーザーにも投稿を見てもらいやすい。
YouTube:利用者・視聴時間を伸ばしている動画プラットフォーム。YouTuberにプロモーションを依頼することも。

 上述の「目的」「ターゲット」と、各SNSの「ユーザー層」「特長」などの組み合わせを検討し、ベストと思われるSNSを選んでみましょう。

(例)
 ―目的「受検者数/入学者数増加」・ターゲット「受験生(10代)」 → TikTok
 ―目的「寄付促進」・ターゲット「卒業生(30代以上)」 → Facebook

 「わが校でもSNS活用だ!」となったなら、まずは「目的」「ターゲット」を決定し、次に「適切なSNSを選ぶ」こと。今回は前半としてここまで解説しました。

 次回は、「何を投稿したらいいか」など、よくあるご相談へのアドバイスと、実際にSNSを上手に活用している学校の事例をご紹介いたします。

教育現場におけるSNSのマナーとリスクマネジメント