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30の事例で理解する 校長・教頭の合理的配慮

12面記事

書評

柘植 雅義 編
困り感理解、支援の検証など解説

 2016年に「障害者差別解消法」が施行された。共生社会の実現に向け、公立学校においては、支援を必要とする子どもたちに、教育内容・方法、支援体制、施設・設備等の合理的配慮を提供するものとされている。しかし多くの学校では、合理的配慮とは何なのか等の理解も含め、取り組みは緒に就いたばかりではないかと思われる。管理職がリーダーシップを発揮し、全教職員への周知や共通した対応を急がなければならない。
 本書はまず第1章で、校長・教頭のための合理的配慮の基礎・基本を述べた後、第2から第4章まで、管理職が悩む三つのポイント「子どもの困り感・保護者の思いをどう理解する?」「学校は何をどこまでやる?教委は何をする?」「支援はうまく機能してる?アフターケアはどうする?」について、30の事例で解説している。これらの事例は、全国の小・中・高校の校長・教頭、教育行政・大学関係者等が、実際の事例を踏まえ、必要に応じて加工したり複数の事例を融合して構成したりしたものである。学校で起こりがちなケースが幅広く取り上げられ具体性に富む。第5章は、今後一層重要になると思われる「保護者との信頼関係づくり五つの原則」が記されており、これも参考になる。
 発達障害をはじめ、種々の障害のある子どもへの教育に日々一生懸命取り組んでいる管理職の先生方にとって、必読の書であると思う。
(2160円 教育開発研究所)
(谷 智子・高知市教育委員会委員)

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