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生徒指導~小学校段階での考え方~【第88回】

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アンケートの限界

 講演会後のアンケートに、「辞めたい、死にたいと思っています」と感想が書かれていた。理由は、「上司に認めてもらえる指導案が書けないで苦しんでいます」。「今日のお話で救われました。ありがとうございます」とも記していた。
 こうしたメッセージは主催者が書かせるアンケートには書けない。講師に直接渡されるアンケートだから本音を訴えたのであろう。真意は詳しく聴かないと分からない。

 一般的にアンケートに本音は書きにくい。講演後は控室に行かずに出口で参加者を見送るようにしている。講師の顔を見ると驚かれるが、笑顔での会釈や握手を求められる。これが一番確実な反応であると私は感じる。
 あるアンケートの中に、「あれもこれもと上司から頼まれ断れない、今年から生徒指導もやることになったが、何をすればよいのか迷っています」と正直に書かれていた。

 特定されたくないためか氏名も所属も書かれていなかった。
 教師でさえそうなのに子ども対象のアンケートは、教師への確かな信頼がないと書けないものである。仮に書いたとしても、その対処が必ずしも迅速適切とは言えないケースが指摘される。組織や機関もアンケートもひとつの手段に過ぎないのである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~