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生徒指導~小学校段階での考え方~【第218回】

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「見守り隊」の話を聞こう

 子どもの情報を集めるためには、登下校時の交通指導をされている地域の方々のお話に耳を傾けるとよい。毎日のように声を掛けて様子を見ているからである。そこには、担任や友達に見せる様子とは異なり、自然な姿がある。元気のあるなし、返事の様子から僅かな異変にも気付いてくれる。また、危ない言動があれば叱ってくれる。
 何と有り難いことか。仕事ではない崇高さがある。私は最高の敬意を表して来た。雨の日も風の日も子どもの安全を願い行動する姿勢は、親や教師を越えるものがある。

 その後継者が見当たらないで困っている現状がある。この任に当たるのは元教員が一番よい。特に生徒指導を担当した経験のある者ならましてよい。指導のポイントは、子どもが自分で危険を回避して安全に渡れるようにするのであって、誘導し過ぎると判断力は身に付かない。

 「辛い日もあるけど、子どもが元気をくれるし、気になるし、私の老い先は長くはないけど、子ともは未来そのものだからね。子どもに会えると幸せなんだよ」と語られる。その方は何度かの癌を乗り越えて、今日も北風の中で旗を振り続けている。「おはよう」「頑張れよ!」と、一人ひとりの子どもに声を掛けながら、それはあたかも自分自身に掛けているようにも感じられる。その満面の笑顔に惰性や慢心に陥っている教師は、原点回帰の姿として学ぶ事は多くある。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~